研修・セミナー

認知症アクティビティ・ケア専門士 イメージ画像認知症アクティビティ・ケア専門士タイトル

「認知症アクティビティ・ケア専門士」3級のカリキュラム(8日間)一覧です。
研修で身につく知識や技術などのカリキュラム内容をご覧頂けます。


認知症アクティビティ・ケア専門士 カリキュラム内容

研修1(第7期:2018年3月9日(金))

認知症における課題とアクティビティ・ケア専門士の役割01講師:渡辺 光子(一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 理事長)

今後、高齢化とともに高齢者や認知症の人がますます増えていくことは確実視されています。このような社会背景と課題、認知症という病気の種類と特徴、家族の問題、地域との関わりなどについて、研修の導入として知っていてほしいことを復習します。

認知症の人が、その人らしい生活を続けていくためには、家族やケアに携わる専門職の対応が重要です。認知症についてあまり知識がない対応や、通常の人と違う言動や行動をとる認知症の人に対しての差別的な言葉や対応は、認知症を悪化させる原因になるということが、調査などで分かってきています。
それに対して、その人が好きな音楽などを用いてアクティビティ・ケアを行うと本人の心身が活性化し、認知症の症状を穏やかにするのが可能となることも実証されています。 このように、生活の中でできるアクティビティ(運動・調理・園芸・音楽など)を活用して認知症の人のケアを行うことが、日常生活の改善にも繋がるのです。 アクティビティ・ケアを進めるに当たり、まず認知症の知識、症状への対応、本人の心理状態などを知っておく必要があります。そのうえで本人にあったアクティビティに取り組むことが大切になります。

ここでは、研修に参加する際の研修への取り組み方、また、今後認知症アクティビティ・ケア専門士として社会で活躍するに当たり、アクティビティ・ケアを進めていくうえで求められる知識や、技術の向上を目指すために必要な留意点を解説します。


園芸療法を用いたアクティビティ2講師:澤田みどり(NPO法人 日本園芸療法研修会 代表理事)
園芸作業は植物が主役で、園芸療法は人が主役

植物や園芸作業は人の暮らしと深いかかわりをもっています。認知症の方に対しては植物は季節感を呼びさまし、五感を刺激し、安心感、リラックス、気分転換をもたらします。また、植物を育てることは適度な身体運動を促し、育てたものを調理やクラフト作製に利用することでその人の自己有用感を高めることになります。
ただ単にレクリエーションの一環として園芸作業を行うことと、アクティビティとして行う園芸療法とは異なります。園芸作業は植物が主役、園芸療法は人が主役という視点で、認知症の方の日々の暮らしを豊かにするのが園芸療法と言えます。
この園芸療法を実際に行う際には、どんな植物を用いるのか、どんな道具が適しているのか、どういった場所・設備で行うか、などいくつかのコツやポイントなどがあります。この研修では専門知識と実践方法を身につけ、第5回の園芸療法の現場実習(畑・庭などで)につなげることを目指します。


研修2(第7期:2018年3月10日(土))

認知症の人の理解とその対応2講師:熊谷 恵津子(東京都認知症介護指導者)

現在、認知症高齢者は軽度認知症の人を合わせると862万人と言われており、高齢化が進むに伴い、さらに増加されることが考えられます。
そのような中、住み慣れた環境の中で「自分らしく」暮らし続けていくことが大きな課題となっています。高齢者のみならず若年性認知症の方も増えており、ますます認知症に対する理解が家族・地域の多くの方々に求められています。平成25年に施行された「オレンジプラン」がこの度「新オレンジプラン」に変わり、より具体的に施策が打ち出され、内容もパワーアップされています。
以上のような社会背景を踏まえて講義を進めて行きたいと考えています。
研修内容は、座学ではなく研修参加者一人ひとりが「考え、実践する」機会となり互いの考えていることを共有できる場にしていきたいと考えています。

(1)研修参加者同士でグループワークをおこない、それぞれの「気づき」を共有する。
(2)グループワークの中で、認知症の人の主な周辺症状の原因を考え、その人らしく暮らし続けるために配慮したケアについて考える。
(3)グループで意見をまとめ、グループ代表が発表をおこなう。

発表内容について質疑応答、講評という順番で進めまとめていきます。


音楽療法を用いたアクティビティ01講師:三宅  聖子(渋谷区障害者福祉センター 施設長
音楽は「自分の人生経験を回想し、歌い・奏で・動き・創る」活動

生活の中で馴染んできた音楽は、「自分の人生経験を回想し・歌い・奏で・動き・創る」活動を自然に作り出してくれます。そしてその活動は、認知症の方にとって安心と豊かさのある場と時間であると共に、脳機能・身体機能を賦活させる瞬間になるのです。
この研修では、参加者のアセスメントを活用し、ケアの目標・目的にあった活動と曲目を選択することができるようになること、身近な楽器や歌を使って、どのような活動ができ、それぞれにどういった効果があるかを確認すること、どんな曲をどのように使うか、などの方法を学び、認知症の方々に対して、音楽療法を理解し、その効果、進め方、プログラムの立案の留意点など、音楽を工夫して使った意味のあるかかわりについて専門知識と実践方法を身につけた上で第6回の現場実習(施設での)につなげます。


研修3(第7期:2018年4月14日(土))

認知症ケアにおける回想法03講師:山根 寛(京都大学大学院 名誉教授)
回想法の意義の理解と進め方

回想とは、そのひとが歩んできた人生の折々の経験やできごとが自然に思い出されることです。回想法は、そうした人の記憶を利用したコミュニケーションが中心になるもので、幼少時から青年期にかけての生活に関わりのある生活用具、昔の写真、流行していた映画や音楽、食べ物など、過去を思い出すきっかけとなるものを通して、当事者から話を引き出していく方法です。 日常的な介護や家庭の生活の中でも、行うことができます。
何を目的に回想法を行うのか、どのように進めればいいかなどを話し合いながら準備します。また、テーマを決めて行うのかどうか、材料や道具を用いる場合と用いない場合の選択、認知症ケアで期待できる効果、評価(評価票を使用)方法を整理するとともにその手法を学びます。


認知症の人に回想を用いて働きかける場合のコツを学ぶ

本研修は、日常的な介護や家庭の生活の中で、認知症の人に回想を用いて働きかける場合のコツを学び、実際に模擬的な体験(ワークショップ)を通して具体的な知識と技術を身につけ、現場で活用できるような内容となっています。


認知症ケアの課題・アクティビティ・ケアの進め方-アセスメント、評価03講師:山根 寛(京都大学大学院 名誉教授)
アクティビティ・ケアの進め方

認知症の人に対するアクティビティ・ケアの役割には、予防としての役割、機能訓練としての役割、生活の質の維持としての役割があります。
認知症ケアにおけるアクティビティをもちいたプログラムは、日常生活、療養生活の質(QOL)に視点をおいて行うことが、重要であり特徴になります。
アクティビティ・ケアを進める上で、ケアを受ける人、ケアに当たる専門職の人も楽しんでアクティビティに取り組むことで、自然に日々の生活を活き活きとしたものにし、それが、脳の活性化と心身の機能の維持に繋がるようにする工夫が必要になります。
この研修では、こうした特徴をもつアクティビティ・プログラムの立案に必要な、 ・施設の機能と対象者個々の状態を知るためにアセスメント票を作成し、そこから対象・目的を明確にする必要があります。その人に合った適切なアクティビティの選択と計画の立て方、運営の仕方を学びます。
また、どのように実践するのか様子を見ながら進め、内容を振り返り(評価票に記入)アクティビティ・プログラムをどのように進めるかなど基本的な事項を講義、実習(ワークショップ)等を通してアクティビティ・ケアを実践する場合の手法とそのコツを学びます。


研修4(第7期:2018年4月15日(日))

化粧療法を用いたアクティビティ04講師:石井  理美 (山野美容芸術短期大学  現代美容福祉専攻  准教授)
アクティビティとして化粧を行う際の進め方、役割、効果

現代の化粧には、自分の顔の印象を変えるための「変身」と、常に一定の対人的効果を目指すものとして、自分の特徴を強調したり、魅力を増すための「装う」という意味があるが、特に顔を中心に飾るもので「自分らしさ」を他者にアピールする手段としての意味が大きいといえます。また、現代の化粧は、‘体表の衛生と健康を維持する機能’と、‘印象を変え美しく演出する機能’をもっています。
認知症の人への継続した化粧のかかわりは、表情の変化や自分の容姿への関心の増加、興奮状態の鎮静化、夜間睡眠剤の服用停止、おむつ外しの成功などさまざまなBPSD(周辺症状)の解決や行動の軽減に導く効果に至っています。
アクティビティとして化粧を行うことは普段私たちが化粧を行うのとは異なります。例えば、医療や介護、美容の心得のある職種との連携が求められ、対象者へのアセスメントをもとに自己化粧がよいか他者化粧がよいかを決定したり、時間や頻度も考える必要があります。
 この研修では、化粧の役割とアクティビティとして化粧を行う際の進め方、化粧療法の効果ポイントなど実践方法を習得します。


アロマテラピーをもちいた活動の進め方、留意点、効果、技術を学ぶ

アロマテラピーは、100%天然植物成分の精油を使用します。その「香り」が脳や体に影響を及ぼし、病気の予防や不快な症状を軽減し睡眠導入、浮腫の改善など、代替補完療法の役割を担っています。
さらに近年では医療機関、ホスピス、介護施設でも取り入れられ、認知症の人の症状の悪化を予防するだけでなく、認知機能を向上させることがこれまでの研究で明らかとなっており、このところ特に注目が集まっています。
この研修では、アロマテラピーについてそのメカニズムを理解するとともに、精油の選び方、活動の進め方、留意点、効果など、実際にアクティビティとして実践する際に必要となる実践的な知識と技術を体験実習で身につけます。


研修5(選択日)

アクティビティ・ケア見学・実習(園芸療法)05講師:澤田みどり(NPO法人 日本園芸療法研修会 代表理事)

研修2:園芸療法を用いたアクティビティについて考え方・意義・ケアの在り方などを講義で学んだうえで、現場(郊外・畑/施設)でどのように実践されているのかを観察したり、実際に現場実習に参加したりします。 講師のレクチャーを受けるとともに、実体験に基づくアクティビティ・プログラムの計画や運営の仕方、成果や留意点などを考えます。

※複数日ある選択日の中から1日を選択。先着順。


園芸療法の現場実習(郊外の菜園等での実習)

植物のある環境の中で高齢者、認知症の人たちと一緒に作業を行ったり、その様子を観察することで、園芸療法について体感する研修になります。
植物は、認知症の人の日々の暮らしに彩りを添え、心を穏やかにし、脳の活性化をうながし会話のきっかけももたらしてくれるものです。
例えば、不穏な状態の認知症の人が、植物のある環境で落ちつきを取り戻す姿がよく見られますが、それには、植物には、認知症などにより人が閉ざしてしまっている五感すべてを優しく穏やかに呼び覚ます力があることも関係しています。また、屋外に出ることで外気浴や日光浴ができ、基礎代謝、新陳代謝を高めることにもなり、さらに、適度な全身運動は基本的な運動能力の維持・改善をうながし、食欲が増し、快眠導入、昼夜逆転防止など、生活リズムを整えることにもつながります。
 実際に活動に参加することで、植物が認知症の人の生活改善にどのような効果をもたらしているのかを観察するとともに、園芸療法を実施するための準備、進行、成果、課題、評価方法なども体験・体感できる現場実習です。


【注意】3級の実習選択日の取り扱いに関して
「認知症アクティビティ・ケア専門士」3級 第7期では、音楽療法・園芸療法、それぞれ複数の実習候補日の中から1日ずつ選択します。 選択日は先着順です。なお、選択日が集中した場合には、別日程への調整となりますので予めご了承ください。


研修6(選択日)

アクティビティ・ケア見学・実習(音楽療法)06講師:三宅  聖子(渋谷区障害者福祉センター 施設長)

音楽を用いたアクティビティの考え方・意義・ケアの在り方などを講義で学んだうえで、現場では、どのように実践されているのかを観察し、実際に臨床に参加します。講師のレクチャーを受けるとともに、実体験に基づくアクティビティ・プログラムの計画や運営の仕方、成果や留意点などについて考えます。

※複数日ある選択日の中から1日を選択。先着順。


音楽療法の現場実習(施設での実習)

高齢者施設において、認知症の人たちと一緒に音楽を用いたアクティビティを楽しみます。その様子を観察することと、プログラムの進め方を確認しながら、実習の皆さま自身も楽しい音楽の世界に出会い体感する研修です。
認知症の人は、身体機能と脳機能の衰えから逃れられず、さまざまな喪失感を味わっています。生活の営みのなかで、生きて来た証の喪失、役割の喪失、環境の喪失などは、機能低下の原因にもなるため、それらを軽減することを目的としたかかわりが必要になります。音楽療法の適用は、過去の記憶を思い起こし、楽しくかつ能動的で主体的な活動となる人と人とのかかわりを可能とします。音楽は、聴くだけで癒され安心できる空間をつくり出します。さらに認知症の人にとっては、無意識に心も身体も主体的に動かして歌う・奏でる・踊る(動く)などの活動を導き出すきっかけになります。
音楽そのものは、ひとの生理的・心理的・社会的機能に変化をもたらしますが、さまざまな感情をともなうアクティビティ「活動」によるケア「ひとのかかわり」は、初期から重度認知症の人まで一人ひとりに適した時間を意図的につくり、脳を活性させる効果があるのです。
認知症の人たちや施設のスタッフの方々と一緒に音楽プログラムに参加することで、身体機能の維持向上や生活改善につながることを実際に感じる楽しい現場実習です。


【注意】3級の実習選択日の取り扱いに関して
「認知症アクティビティ・ケア専門士」3級 第7期では、音楽療法・園芸療法、それぞれ複数の実習候補日の中から1日ずつ選択します。 選択日は先着順です。なお、選択日が集中した場合には、別日程への調整となりますので予めご了承ください。


研修7(第7期:2018年5月20日(土))

運動・散歩を用いたアクティビティ07講師:中條 千恵子(医療法人社団 和風会 デイサービスセンターパーク/理学療法士)
認知症予防や軽度認知障害の進行防止には習慣的で適度な運動が有効

私達は日常生活の中で、寝返りや歩く時に、それぞれ『よし、寝返るぞ!』『よし、歩くぞ!』と考えることなく、いろんな動作を行っています。また、漠然と動作を行うわけではなく、“トイレに行くために立ち上がる”“買い物のために歩いて出掛ける”など様々な目的のために動作を行っています。
しかし、そんな何気ない動作が身体機能に問題は無いのに認知症の進行により出来なくなります。
また、日常生活に問題なく、会話もスムースに行える方でも、病気や怪我で入院しベッド上で過ごすことにより、認知症の発症もしくは増悪するケースが多々見られます。
アクティヴさが無くなるつまり、活動的でなくなる・積極的でなくなる・意欲的でなくなることが認知症と深い関係があると言えます。
また、人間の身体はロボットには出来得ないことがたくさん出来ます。しかし、逆に脳の問題、関節や筋肉の問題などで簡単に『歩くことや円滑な動きが出来なくなる』→『アクティヴな生活が送れなくなる』→『認知症状がひどくなる』という悪循環を引き起こします。
今回は、認知症の予防また増悪防止を目的とした運動、特に全身運動である『歩く』を基本に楽しく継続出来る運動を知識とともに体験をしていきたいと思います。


地域の資源を活用したアクティビティ・ケア07講師:濱田秋子 (町田市南第1高齢者支援センター相談員/看護士/認知症介護指導者)
認知症予防や軽度認知障害の進行防止には習慣的で適度な運動が有効

地域で認知症の人を支えていこうという施策が出され、それぞれの市区町村においては、地域包括支援センターなどを中心としたさまざまな取り組みが始まっています。
しかし、課題も多く指摘されています。例えば、

1)認知症の人を地域で支えるために何が求められているのか
2)地域の中でそれぞれの立場で提案できる仕組みとはどのようなことか
3)地域資源、情報を活かして連携し協働するにはどんな方法があるか
4)介護保険制度の流れを正しく理解し、地域包括支援センターなどにつなげるにはどうすればよいか
5)地域包括支援センターの役割とはどんなものか
などが挙げられます。
そして、なぜ、今、「認知症ライフパートナー」や「認知症アクティビティ・ケア専門士」が必要なのか、という点も実はその解決と関係するものと言えるのです。
こういった内容をテーマに、講義やワークショップを通して、受講生の皆さんからの質問、意見、各地域での取組みの事例発表など、情報交換やディスカッションを行うことで解決策を見出す、あるいはそのことが今後の活動に具体的に活かすことができるような研修内容を目指します。


研修8(第7期:2018年6月30日(土))

運動・散歩を用いたアクティビティ01
各講師陣が参加し事例発表と講評・デスカっション 

各講師陣による研修全体の総括をはじめ、今まで行ってきた研修のまとめを行います。また、講師、参加者との交流・懇親会も実施します。

※研修内容の詳細については近日中にご案内いたします。



【注意】3級の実習選択日の取り扱いに関して
「認知症アクティビティ・ケア専門士」3級 第7期では、音楽療法・園芸療法、それぞれ複数の実習候補日の中から1日ずつ選択します。 選択日は先着順です。なお、選択日が集中した場合には、別日程への調整となりますので予めご了承ください。



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